体験記

クリエイト速読スクール体験記 '11

クリエイト速読スクール 受講体験記

平成22年度公認会計士試験合格  冨田 大資

はじめに

 はじめまして、冨田 大資(とみた だいすけ)と申します。
 2010年(平成22年)2月にクリエイト速読スクール(以下、「クリエイト」)に入会して以来、集中的に自分の能力向上を図り、平成22年度の公認会計士試験に合格することができました。
 さらに、TOEICのスコアも上昇し、10月に実施された公開テストでは900点(L: 480、R: 420)を取得できました。

 クリエイトに出会って、私は大きく成長できました。この場を借りて、クリエイトの皆様に感謝申し上げます。

 この受講体験記でお伝えすることは以下の通りです。

  1. クリエイトとの出会い
  2. 受講にあたっての工夫
  3. 各トレーニングをどう試験に活かしたか
  4. 文章演習講座について
  5. おわりに

 本稿が皆さんのお役にたてれば幸いです。

1 クリエイトとの出会い

 私がクリエイトに入会した目的を一言でいえば「会計士試験に合格するための事務処理能力の向上」です。そして、事務処理能力を向上させる必要性に気づいたのは監査法人に就職したことがきっかけでした。

 2007年9月、私は某監査法人に入所しました。当時は内部統制監査導入により、会計士業界はバブルの状況にありました。そのため、会計士試験の第1段階、短答式試験にさえ合格していれば受け入れてくれる監査法人も存在したのです。

 監査法人に入ってみると、当然のことながら、私以外の職員はほとんど全員が会計士試験合格者でした。言い換えれば、私は会計士試験という世界の「成功者」に囲まれて仕事をしていたわけです。会計士試験受験生にとって、これ以上に恵まれた環境はありません。
「ナポレオン・ヒルのように、成功者にインタビューをして回れば、何かをつかめるのではないか」
 そう考えた私は同僚の合格者にインタビューをして回りました。

 すると、意外にも、合格者の会計に関する知識は大したことがないことがわかりました。もちろん、「この人はすごいなぁ!」と感心する人も数名いました。しかし、大半は私と同程度だと感じました。むしろ、「この程度の知識ならば、私の知人(不合格者)の方がすごいのでは?」と感じることもありました。

 私が合格者から知見を得たのは、監査現場に出てからのことでした。
 彼らは仕事が速いのです。例えるならば、ヘリコプターです。ヘリコプターのように、業務上必要最低限の荷物(知識)を備え、最短距離で目的を達成していくのです。
 一方で私は、重戦車のように、ゆっくり仕事を進める人間でした。業務に関連する知識を可能な限り多く備え、地道に仕事を進めていくので、どうしても遅くなります。
 どちらの方が上司からの満足度が高かったかというと、当然、ヘリコプターの方でした。

 このとき、私は「会計士試験でも同様の事態が生じているのではないか」と考えました。
 すなわち、会計士試験には制限時間(勉強期間、試験時間)があるので、限られた勉強期間内に必要な勉強を終わらせ、試験時間内により多くの点数を取る必要があるため、勉強や解答が速い方が有利です。また、知識も試験合格に必要な量を備えていればよいわけで、試験で問われている以上の知識を持っていたとしてもプラス評価されるわけではありません。
 したがって、重戦車のように地道に勉強を進めるよりも、ヘリコプターのように必要最低限の知識を備えて最短距離で勉強を進める方が試験に強い、ということができます。

 このように、仕事や試験などでの目的を、速く、短時間で達成する能力を「事務処理能力」と本稿では定義します。そして、前述の経緯から、会計士試験に合格するためには事務処理能力が不可欠である、と考えました。
 また、私見によれば、この事務処理能力は2つの要素に分解できます。

 「事務処理能力」=「優先順位付け」×「頭の回転の速さ」

 「優先順位付け」とは、目的達成に必要なものと必要でないものを峻別し、必要でないものを排除し、必要なものだけを優先順位の高いものから順に実行する能力です。このことに関しては、各人の価値観に委ねられるものなので、本稿では省略します。
 問題は、「頭の回転の速さ」です。これを後天的に身につけるには特別なトレーニングが必要です。

 そこで私は、「速読トレーニングを受ければ、頭の回転の速さも上がるのではないか」と考え、当初はクリエイトとは別の某速読プログラムに参加していました。
そのプログラムは数日間で実施されるもので、本の字面を眺めてから、ザーッと本を読み、自分にとって必要な情報を拾い上げる、というものでした。
 しかし、そのプログラムは、プログラムの会場にいた時は効果があるような感覚になるのですが、自宅で再現することは困難なものでした。参加した後も一生懸命再現を試みますが、全く効果はあがらず、速読をあきらめかけました。

 それでも、心の中では「速読ができたらなぁ」という気持ちは持ち続けていました。というのも、自分は読書が好きなので、速読ができるようになれば、頭の回転が上がるだけでなく、自分の趣味も充実して、一石二鳥だからです。

 ある日、書店に立ち寄った時、出版直後の『試験に受かる1日15分速読勉強法』に目が留まりました。内容を見てみると、司法試験合格者を17年連続(出版当時)で輩出し続けているとありました。

 「これはもしかしたら、会計士試験にも応用できるかもしれない」

 そう考えた私は無料体験講座を受講してみることにしました。実際に受講してみるとクリエイトの内容が合理的であり、信頼できることを確認できました。そして、「今度こそ、本当に速読できるようになるんだ」という強い決意で入会を申し込みました。

2 受講にあたっての工夫

 前述の通り、会計士試験に合格するためには事務処理能力の向上が不可欠であり、その事務処理能力のうち「頭の回転の速さ」を向上させるために速読をしようと考え、クリエイトに入会しました。当時の私にとって会計士試験合格は至上課題だったので、試験日に頭の回転の速さのピークを持っていきたいと考えました。

 そこで、試験初日から逆算してスケジューリングすることを思いつきました。これにはポイントが2つあります。

 第1に、試験初日(8月21日)の3日前(8月18日)に55回目のレッスン(※友人と同時入会のため各5回プラス)を受講できるようにすることです。
 第2に、受講頻度は逓減的に設定することです。具体的には、2月・3月は週5回、4月・5月は週4回、6月は週3回、7月は週2回、直前は週1回、というように設定しました。

 ちなみに、執筆現在、私は文章演習講座に参加しているだけでなく、速読のレッスンの受講を再開していますが、これらのことは想定外の事態です。なぜなら、入会当初は会計士試験日に能力のピークを持っていくことしか考えていなかったからです。極端なことを言えば、会計士試験に合格できさえすれば、その後はどんなに能力が下がってもかまわないとすら思っていました。しかし、私は今もクリエイトに通っています。それは、クリエイトのレッスンの内容が、想定外におもしろく、かつ効果があったからです。

3 各トレーニングをどう試験に活かしたか

 では、クリエイトのレッスンの内容(各トレーニング)をどう試験に活かしたかを紹介していきたいと思います。

●トレーニング全般

 クリエイトの各トレーニングには必ず制限時間が設けられています。そのため、私は各トレーニングを通じて「時間対効果の意識」と「集中力」を高めることができました。
 試験のルールは、基本的に「制限時間内に、より多くの点数を取った方が勝ち」というものです。延長戦は認められません。ということは、時間対効果が高い方が試験に勝つ、ということになります。クリエイトの各トレーニングには必ず制限時間が設けられているので、スコアを伸ばしたければ時間対効果を意識せざるを得ません。
 また、制限時間が設定されているため、スコアを伸ばしたければダラダラすることは許されません。必然的に集中力が高まります。
 本番において、私は、制限時間内により多くの問題に解答し、正解するため(時間対効果を高めるため)、自分の解けそうな問題から解くことを心がけました。当たり前のことですが、このように解くことで「解けるはずの問題を解けずに時間切れ」という最悪の事態は回避できました。
 また、本当に集中力が高まっていたため、周囲のことはまったく気にならないほど集中できました。会計士試験は盛夏に行われるのですが、私が蝉の鳴き声に気づいたのは、試験が終わった後でした。

●カウント呼吸法

 クリエイトのトレーニングでは、最初に必ずカウント呼吸法を行います。
 私はこれを儀式として日々の勉強に導入しました。具体的には、テスト形式の問題を解く際は、必ずカウント呼吸法を儀式として行ってから解答を始める、ということをしました。当然、本試験の時も、カウント呼吸法を行ってから解答を始めました。
 このようにカウント呼吸法を勉強前に儀式として行うことで、本試験をいつも通りのテンションで受験することができました。もちろん、本来のリラックス効果もあります。

●認知視野拡大のトレーニング

 カウント呼吸法の次は、視野を広げるために、サッケイドシートやランダムシートなどのシートトレーニングが行われます。
 視野が広がったことで、問題文の見落としやケアレスミスが減りました。クリエイト入会前、私の答練(ミニ模試のようなもの)での失点原因の9割超はケアレスミスでした。問題文の見落としやケアレスミスが減ったことで、成績が上がったことは言うまでもありません。
 また、会計士試験のみならず、このトレーニングはTOEICにも有効だったように思います。というのも、TOEIC(特に、リーディング・セクション)は時間との闘いなので余裕を持って解答できず、かつては解答上必要なポイントを見落とすことが頻繁にありました。しかし、このトレーニングを受けたことで、見落としによる失点はかなり減りました。結果、TOEICのスコアはリーディング・セクションだけで、110点上昇しました。

●読書内容に集中するトレーニング

 中盤では、読書内容に集中するトレーニングとして、スピードチェック・スピードボード・ロジカルテスト・イメージボード・イメージ記憶などが行われます。
 中盤のトレーニングで最も役立ったのは、スピードチェックです。このトレーニングでは、「先へ、先へ」の精神が鍛えられます。先程も同様のことを述べましたが、試験では、正解できるはずの問題に解答できないことがリスクなので、特定の問題に執着することは絶対に避けなければなりません。クリエイト入会前の私は、解答済みの問題に未練や執着があったため、全問に解答できたことはほとんどありませんでした。しかし、このトレーニングを受けることで、解答済みの問題に未練や執着がなくなり、「先へ、先へ」の精神が芽生えました。解答できる問題にすべて解答できたことは、こうした要因もあったと思われます。

4 文章演習講座について

 私は今、文章演習講座(以下、「文演」)に参加しています。
 結果的に、文演を受講せずに会計士試験に合格することができたわけですが、「文演を受講してから会計士試験を受けたら、もっと楽に合格できただろう」というのが率直な感想です。その理由は、「試験委員が受験生の答案を1枚当たり何分で採点しているか」を考えてみると理解していただけると思います。

 平成22年度公認会計士試験の論文式試験受験者数は5,512人でした。財務会計論(会計学〔午後〕)を例にとって考えてみると、解答用紙は5枚あります。そして、会計士試験の性質から、ダブルチェック(ないし、トリプルチェック)が行われていると仮定すると、解答用紙は全部で、

 5,512人 × 5枚 × 2~3回 = 55,120~82,680枚

存在することになります。
 仮に、試験委員が1枚当たり3分間かけて採点していたとすると、すべて採点するには

 55,120~82,680枚 × 3分間 = 165,360~248,040分間 ≒ 2,756~4,134時間

かかることになります。
 財務会計論の試験委員は18名いるので、試験委員全員で分担して採点したとすると、試験委員1人当たり約153~230時間かかることになります。

 ここで、試験委員がどのような人たちか考えてみてください。彼らはだいたい50歳から60歳程度の大学教授か監査法人の代表社員で、大学の授業、学会、実務等で多忙な方々です。そのような方々を、2~3ヶ月で約153~230時間拘束することは現実的でしょうか。

 もうお分かりかと思いますが、試験委員は受験生の答案を1枚当たり3分間もかけられない、ということになります。せいぜい1~2分間、といったところでしょう。
 1~2分間で専門用語がちりばめられた答案を採点する。しかも、年齢的に、試験委員が老眼だったとしたら……。
 試験委員の苦労が身にしみます。
 さらに、文章が下手で訳のわからない答案を読まされたら……。

 文章が上手な方が絶対に試験に有利です。したがって、文演を受講してから会計士試験を受けたら、もっと楽に合格できただろう、と思うのです。

 もう一点、文演に関して特筆すべきことがあります。それは、文章の読み書きの姿勢が以前よりも真面目になった、ということです。

 文演を受講する前は、自分にとって必要な情報さえ吸収できれば十分、というスタンスで本を読んでいました。したがって、小説は好んで読みませんでした。しかし、文演を受講した後は作家の文章の良さが、なんとなくですが、わかるようになってきて、小説を読むと、「もっと読みたい」という感情が出てきました。分間読字数は下がりましたが、自分としては以前にも増して真面目に文章を読むようになったと思います。

 また、以前よりも真面目に文章を書くようになりました。文演を受講した後に適当に書かれた文章を読むと、筆者の適当さ加減がわかってしまいます。逆に、巧みに書かれた文章を読むと筆者の力量や努力の跡がわかります。このことは、ある意味で怖いことですが、一方で自分を認めてもらえるチャンスでもあります。そのため、以前よりも文章を書く姿勢が以前にまして真面目になったと思います。

 文演を受講できた自分はラッキーだと思います。
 私の周囲には文章作成に対する苦手意識を払拭できずに苦労している人たちが多数います。そのような人たちと比べると、文章の手ほどきを受けられた自分は本当に恵まれていると思います。

5 おわりに

 最後に、皆さんへの応援メッセージとして、私の一番好きな言葉を紹介します。

 虚仮の一念岩をも通す

「虚仮(こけ)」は、「思慮・分別が浅いこと。愚かなこと。また、そのような人」(『大辞林・第三版』(三省堂))を意味することから、「虚仮の一念岩をも通す」は、「どんなに愚かな者でも一念を持って行えば大きな仕事ができる」ということを意味します。
 先述の通り、私は愚か者でしたが、会計士試験に合格したい! と願い続け、その願いがクリエイトとの出会いを呼び、最終的に本当に会計士試験に合格することができました。
 このことは会計士試験以外のことにも当てはまると思います。どのようなことでも、信念を持って粘り強く行動し続ければ必ず報われる日が来ます。
 どうぞ、頑張ってください!

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受験時代に楽しく過ごせたクリエイトのひととき

平成22年度第5回新司法試験合格  遠藤 啓之

1.クリエイトとの出会い

 大学院で法学を研究し、将来は研究者になりたいと思っていたが、研究者の道もなかなか狭き門(文字通りというよりもアンドレ・ジッドの小説のとおり、滅びに至る門と比べると救いに至る門ははるかに狭いということである)なので、法曹を目指そうと思った。

 もともと大学院へ進んだのは、学部4年間では大したことも学べず、もっと専門的に学びたいと思ったからだった。大学院では好きなだけ本を読み、外国語を学べたのだが、研究で生計を立てていけそうにないということに博士課程まで進んでから自覚し、司法試験の勉強を始めた。しかし、高い事務処理能力を求められる司法試験と、時間無制限で竹林の七賢みたいに優雅に法律談義ができる研究生活とでは質が違いすぎ、まったく展望が開けなかった。

 生来、几帳面な性格が災いしたのか、旧司の択一は一向に点が伸びず、また、論文の方も定型的な書き方を身につけることが求められているとはわかりつつも、型にはまった思考方法になかなかなじめなかった。

 そうこうするうちに対策も不十分のまま1回目の旧司の択一で不合格になり(翌日の解答速報で落選確実に……)、これではいつまでたっても受からず年をとってしまうのではないかとあせっていた。ある日、司法試験関係のブログ(大学の教員もやっている弁護士の先生だった)からたまたまクリエイトにネットサーフしてつながり、ホームページを見ているうちに法律知識の習得も大事だが、まずは頭脳の基礎体力(脳力)をアップさせようと思った。

 ホームページは、飾り気がなく、また、誇大広告といった感じがまったくなかった(これはいまページを見られている方もお感じのことと思う)。教室の風景もきれいで、うさんくささがまったくなかった。さらには、クリエイトから司法試験に合格している弁護士の先生方の合格体験記があるではないか。弁護士の先生方が自分の合格体験記をそのまま掲載しておられるということは信頼できるのではと思い、すぐに体験レッスンを申し込んだ。

2.実際にレッスンを受けてみて

 体験レッスンのときまでは半信半疑であった。しつこく勧誘されて帰してもらえなかったらどうしようかとも思った。しかし、結果的には、引き止められるどころか、興味があって、気に入ってくださったらいつでもどうぞ的なノリであった。あまりにも勧誘されないものだから、自分は能力的に低すぎて、ついて来れないだろうからしつこく声をかけてもらえなかったのではないかとも思ってしまったくらいだった。ともあれ、体験してみて脳力がアップしそうだったので3日後に申し込んだ。

 話が前後するが、体験レッスンでは、これまでやったどの知能テストよりも頭を使う知的体験をした。実際、天才的な人はこのようなレッスンを軽々とやるのだろうなと思いながら、まわりの先輩受講生を見ながら自分のふがいなさを感じた。

 体験レッスンを終えて、松田さんに分析をしていただいた。クリエイトには司法試験や難関の資格試験に合格なさっている受講生が多くいる中で、ポテンシャルを高く評価していただけたのはすごくうれしかった。大学院の博士課程で法学を研究していたとはいえ、司法試験で求められている能力はまた違ったものであり、思うように結果が出せていなかった自分にとっては、レッスン記録が進んでいる他の受講生と同様に自分の能力を評価していただけるのは非常にうれしかった。レッスンを進めていけば、他の先輩受講生のように、記録を出せますよといわれたのも、他の受講生のように能力を伸ばせるか不安だった自分にとって、安心材料となった。

 コースも、平日限定でもかまわない自分にとって、さらにリーズナブルでよかった。平日の昼間にお稽古事ができることは、先の見えない司法試験受験生にとっては数少ない贅沢の一つであった。また、他の受講生の方も体験記で書かれていたが、大いに息抜きになった。

 レッスンを受けて変わったことは、まず、いい意味で加減をつけながら本を読むことができるようになったことが挙げられる。これまでは最初から最後までだらだらと本を読んでいたため、途中で集中力が途切れがちであった。しかし、レッスンのおかげで、メリハリをつけて読む、時間内にともかく読む(このことは忙しい社会人の方にとって最も求められる力であると思う)ことができるようになった。少なくとも、そのような読み方を抵抗なくできるようになった。というのも、几帳面な人にとっては、スキミングは性格的にできないことであるが、コツさえつかめば、むしろだらだら読むよりもはるかに内容理解度が増すのである。頭ではわかっていながら、できなかった読み方だったが、レッスンでは具体的な数値となって現れてくるので、自然と身についていった。

 次に、視野を自在に広げたり集中させたり(狭めたり)できるようになったことが挙げられる。これは、非常に不思議な感覚だった。自分が昆虫になったような気分だった。複眼でもついているかのように遠くまで見通せたり、逆に近くに焦点を合わせたりできるように、意識すれば視野を自由に動かせるのである。クリエイトへは地下鉄を使って通っていた。池袋の地下街は、柱が無数に並んでいるところがあり、そこを通るときは視野を変えることで、幻想的な気分が味わえた。

 さらに、これは余り良いことではないのだが、読書に集中しすぎて電車で乗り過ごすことが多くなった。これまではいくら本を読むのに集中するということがあっても、駅を乗り過ごすということはなかった。しかし、クリエイトで集中力がつけばつくほど、雑音が気にならなくなり、車内アナウンスさえ耳に入らなくなるようになっていったのである。最初にこの体験をしたときは正直驚いた。人間の集中力のすごさを感じた。もちろん、これも慣れで、電車が減速するときに意識を切り替えることで今自分が何駅にいるのかを確認できるから、乗り過ごすことを防止することはできるようになっていったが。

 最後に、クリエイトのレッスンプログラムはどれも頭を使うものばかりで、レッスンの後は頭が重かった。その分、試験勉強が前よりも苦にならなくなった。それどころか、頭の疲労度で言えば試験勉強の方が簡単に思えてきた。1日のレッスンは2回が限度でしょうといわれているのが良くわかった。自分は1日1回しか受講しなかったが、時々いる2回受講なさる方はタフだなぁと思った。

3.講師の方々の思い出

 体験記は自由に書かせていただけるので、自分としては、これまでにレッスンをしてくださった講師の方々の思い出を書きたいと思う。

 佐々木さんは、自分が通い始めた年に司法試験に合格なさった講師の方だった。同じく司法試験を目指して学んでいる(た)方が講師をしているというのは心強かった。具体的な法律の勉強を聞くわけではないが、ご自身の体験談や、失敗談など、なかなか身近で聞くことができない話を聞けたのはよかった。また、決してあきらめずに取り組んで合格された方がクリエイトの先輩受講生だということも、折れそうになる心の支えになった。

 砂金さんは、物静かな方で、つい最近、体験記をみて初めて自分と同じ年にロースクールに入学され、一足先に司法試験に合格なさったのだということを知った。いつもやさしく丁寧にアドバイスしてくださる方だった。物静かな物腰からは想像ができないほど、自分を信じて人一倍の努力を続けてこられた方なのだということを知って、改めてクリエイトの講師の方のすごさを感じた。また、同じく資格試験を目指し、あるいは合格なさった講師だからこそ、受験生の悩みに応える的確なアドバイスができるのだとも思った。

 松田さんのレッスンは非常に緊張した。今の自分の記録に満足することなく、常に上を目指すようにアドバイスされた。というのも、優秀な中・高校生の後塵を拝するわれわれ大人に、彼らとの脳力差がいかに大きいかを自覚させてくれたからである。また、週1回の習い事のつもりで受身になりつつあった折には、そのアドバイスに身の引き締まる思いがした。他の講師の方とは違った緊張感をもって取り組めたのは、非常に得がたい経験であった。改めて意識してレッスンを受けてみると、集中力が高まったり、少しでもよいスコアが出せるようにと自分なりに工夫してレッスンを受けようという気も出たりして、新鮮な気分で取り組むことができた。

 他にも多くの講師の方にレッスンしていただいた。いつも思っていたのだが、講師としてクリエイトのレッスンをするのは大変な集中力と、事務処理能力が必要ではないだろうか。自分などは、レッスンを受けているだけでもいっぱいいっぱいなのに、多いときには20人近くなる受講生にレッスンするのだから、きっと大変なのだろうと思う。クリエイトで学び、司法試験に合格された方の中に講師の方がいらっしゃるのもわかるような気がした。

4.文演の体験

 速読のレッスンに慣れてきた頃に、文演の掲示を見て、興味を持った。事務処理能力を高めることは択一試験にとって重要であるが、司法試験での天王山は論文試験である。論述力を高めなければ合格はできない。そこで、文演も受講した。

 文演を受講しての感想は、あたりまえのことをいかに普段気づかずに生活しているか、である。文章を読むとき、書くときの心構えを再確認することができた。また、多くの他の受講生とともにわいわい取り組むことができるのも、いつものレッスンとは違って面白いところであった。いろいろな経歴の人が受講なさっているのだなぁと、いまさらながら感心した。

 一緒に受講していた受講生の方に病気を克服して取り組んでいる方がいた。真剣に取り組んでいる他の受講生と知り合うことができ、自分ももっと頑張ろうと思うことができた。また、司法試験受験生の方もいらっしゃり、多少なりとも情報交換ができたのは、とかく1人になりがちな旧司受験時代には心強かった。

 レッスンの効果を実感するという意味では、文演が一番実感度が高かったと思う。やはり、文章を読むときの心構えを身につけることは、文章をたくさん読む司法試験受験にとって非常に有意義であると思った。また、他人に突っ込まれないようにするにはどのように気をつけて文章を書けばよいのかという意識もつけることができた。

5.まとめにかえて

 自分はこれまで、塾講師のアルバイトをする経験が長かったためか、高校受験や大学受験に多少なりとも詳しくなった。SEGのような進学塾に集まる優秀な高校生が圧倒され、もっと受けたいと思うようなレッスンを提供しているのもうなずけた。そして、自分が高校生の頃にクリエイトのレッスンをしっかり受けていれば、もっと高い脳力が身についていたのではないかと少し悔しく思った。

 クリエイト受講の効果が司法試験合格よりも前に現れたのは、国家Ⅰ種試験の合格においてであった。学部生のころは、いくら勉強しても受かる気がしなかったので受験しなかったが、クリエイトでレッスンを積み、地頭が多少なりとも良くなってから受けてみると、簡単に合格することができた。クリエイトのレッスンに比べれば、難関の国家Ⅰ種試験といえども簡単に感じられた。司法試験も思考力を使うが、それでもクリエイトのレッスンを終えた後の知恵熱の発熱度に比べれば、まだまだのような気がした。

 司法試験に合格して思ったのは、やり方を間違えないように勉強することがいかに大事かである。そのやり方には、何を使って勉強するかも含まれる。良い参考書、問題集であればたくさん手を出す必要はない。

 クリエイトでのレッスンは、非常に良質であった。試験に合格する直前期にはもうコースのレッスンの回は修了していたが、地頭を鍛えるという意味では司法試験合格に直結していたと思う。複雑な法的事案を前に、あれこれと同時に頭を使って考えるには、それなりの思考訓練が必要である。クリエイトのレッスンプログラムはどれも複数の思考過程を経るタイプのものであり、頭をフル回転して考えるという思考訓練にぴったりである。そして、なにより、どのレッスンも楽しい。とりわけ、最後の倍速読書訓練が人気の高い理由は、資格試験受験に疲れた頭をさまざまな本で癒すことができるからであろう。先が見えない受験生時代に、さまざまな「時の本」を読むことができたのは一時の心の安らぎであった。

 この体験記がどれほど参考になるかいささか心もとないが、これから受講しようか検討なさっている方は、自分が最初に体験レッスンを受けたときと同じ不安をもっていらっしゃることと思うが、下は小学生くらいから、上は年配の方までまさに老若男女を問わず受講していらっしゃり、安心して教室に通うことができた。

 すでに受講されている方で、資格試験を目指されている方は、合格できるか不安を抱いている方もいることと思うが、自分は最後まであきらめずにやりぬくことで合格することができた。クリエイトのレッスンを受けて才能を伸ばされている方であれば正しい勉強方法(小手先だけのテクニックではなく、きちんとした理解をつけるやり方)をすればすぐに合格なさることと思う。ときにはリラックスしながら、あきらめずに頑張ってください。

 先が見えないながらも、平日の昼間にクリエイトで楽しくレッスンを受けることができたのは、幸運だったと思う。途中で司法試験をあきらめて他の道に進まずに済んだのもクリエイトとの出会いがあったからこそと思う。受講生の皆様がご自身の目標を達成なさることを、心から祈念しております。