出版物紹介

知的速読の技術 ―BTRメソッドへの招待―

まえがき

 ここで紹介するのは、私たちが独自に開発した速読トレーニングプログラムです。速読とは、いたずらに速度のみを追求するものではなく、読書に必要な諸能力を高めていくことによって結果として可能になってくるものだと考えます。その意味から私たちは、このトレーニングを「読書する人のための基礎的訓練」と位置づけ"BTR(Basic Training for Readers )メソッド"と名づけました。

 現在のところ、"速読"は、一部の驚異的な速読能力者ばかりがクローズアップされることによって、十分な社会的信用を得ているとは言いがたい状況にあります。また、同一の内容を繰り返し読ませ「読速度がたちまちに10倍になる」「誰もが短時間に1分間に2万字、3万字達成した」などと読書の常識から考えてトリックとしか判断せざるをえない現実も速読の世界にはまだあります。

 本書によって、速読の訓練というものが正当な評価を受け、社会的に定着していくことが私たちの願いです。

 本書は、学ぶ方の便宜を考え、次のような構成をとりました。

 第1章では、BTRメソッドの基本的な考え方と、本書の使い方について述べます。

 第2章では、訓練の進め方について、具体的に解説します。そのあとに、実際に訓練するための教材を載せてあります。これらの教材は現在、特許庁に実用新案の出願中となっています。

 第3章では、認知科学の研究成果を参考に、私たちの考える速読のメカニズムと、各訓練の目的について解説します。

 なお、本書はクリエイト速読スクールより1988年に、独習用テキストとして出版された『BTRメソッドによる速読トレーニングブック』の新装普及版です。

 底の浅い権威主義と、無意識にまで蔓延しつつある怪しげな超人志向を乗り越えて、地味であるが確かな読書の訓練法の定着こそが真に求められていると私たちは確信します。

 最後に、出版にあたり、いろいろご尽力いただいた日本能率協会マネジメントセンター図書出版部の本田研吾氏に厚くお礼申し上げます。

1995年9月

クリエイト速読スクール
代表 松田 真澄

目次

第1章 BTRメソッドの考え方

速読の幻想/私たちが約束できるもの/「遅読の悩み」の真相/本を読む能力/読書する人のための基礎的訓練=情報処理機能の改善/具体的にどのくらいのスピードになるのか/訓練で得るもの/本書で学ぼうとする方へ

第2章 BTRメソッド速読訓練の実際
1 訓練を始める前に

記録用紙の準備時間の計り方

2 各訓練の方法

カウント呼吸法/サッケイドシート(眼球反射訓練)/ヘルマンシート訓練/ブロックパターン(BP)シート訓練/行パターンシート訓練/ユニット訓練(ユニット認知訓練)/イメージ瞑想法/イメージ記憶訓練/イメージ読み訓練/倍速読書訓練

3 トレーニングを続けていく方法

3タイプのプログラムと記録カード/デスクトレーニングの実行プラン/フリートレーニングのヒント/トレーニング計画は完全主義でなく/日常読書速度記録用紙の使い方

BTRメソッド速読訓練教材

記録カード(TYPEI・II・III)/イメージ読み訓練用紙/倍速読書訓練用紙/日常読書速度記録用紙/サッケイドシート/ブロックパターンシート訓練/行パターンシート訓練/たて一行ユニット訓練/イメージ記憶訓練/イメージ記憶訓練記入欄

第3章 速読の理論と各訓練のねらい
1 BTRメソッドは最も基礎的な読書の能力を向上させる ―情報処理機能の改善―

頭の中で音読せずにわかるのか?/周辺の字・語との関係でよりよくわかる/見た語はイメージを呼び起こす/BTRメソッドの役割

2 広範囲の文字に注意を向け、その認知力を高める ―認知視野の拡大―

視野拡大はどうして生ずるか/文字を文字として認知する/パターン認知の働きを開発する/文字そのものは重要でない

3 語が呼び起こすイメージに敏感になる ―読書内容への集中―

イメージとは/イメージによる記憶/体験の記憶がイメージである/言葉はイメージを呼び起こす/イメージの働きに素直になる/イメージの能力を開発する/イメージの鮮明度

4 速読はこうして可能になる ―読書過程の効率化―

「わかる」とは、「まとまる」こと/読解の過程(まとまりの積み重ね)/イメージでまとまる/下位の読解作業は反射的に起こる/速読の実際

5 自己コントロールの方法と訓練の意味 ―悪循環からの脱出―

自分の心身が意志どおりにならない/無意識の働きはブラックボックスである/心身の感覚によるフィールドバック/内的感覚フィードバック無視の悪循環/緊張を解くことから始める/いわゆる"α波"について/失敗の中で学んでいく/困難な課題も克服可能だが……/理屈でこうしろではダメ/優れた訓練システムとは/訓練、教育というものの意味

出版物紹介TOPへ戻る